音楽を薬代わりに〜カルロス=クライバー編 1

音楽によって痛みから解放されたことがあります。約一週間の間、一日中背中が痛み、身体を横たえることができませんでした。ところが、偶然にショパンの編曲もの(室内楽)を耳にしたところ、さーっと痛みがひき、眠れるようになったことがありました。そんなのたいしたことないと思われる方もおられるでしょうが、身体を横たえることができないのは、かなり厳しいです。

1週間もの間、眠れないというのはただ事ではありません。音楽と共に不調が去っていったことは印象的で、わたしに限っては、音楽が薬代わりになる場合もあるのではないか?と考えていました。

しかし、万人に通用するわけではなく、受け取る人の環境や音楽的土台、感性などにより変わってくると思います。加えてどんな音楽でも良いのではなく、その人に応じたジャンルや曲があったり、音楽が神経にさしさわり、不調が増大されることもあるでしょう。わたしも聞きたくない音や音楽があれば、体調悪化につながります。

また、わたしに限ってのお話で申し訳ありませんが・・・体調不良は、創作や練習をすることで、解消される時もあります。時空を超えるとでもいいましょうか?突然空気に裂け目ができて、そこに分け入っていく感覚?そういう時は、納得できるものが生まれます。(簡単には作れないことがほとんどです。)

これも一種の薬代わりであるかもしれません。

最近は演奏会で生の音に触れたいとも全く思わなくなりました。席が狭く窮屈であることや、隣に誰が座るかわからない環境が苦手になってきたのです。そのため録音一辺倒の生活です。今はCDやDVDで鑑賞しています。昔に戻りました!

目次

クライバー回帰

最近は昔よく聴いていたクライバーの音楽をまた聴き直しています。クライバー記念館や逝去の地コニシッツアの地図や、お墓も眺めています。

お墓参りに行った方の書き込みも印象的です。りんごの木が多く、実がぽんぽんと落ちてくる場所でご飯を食べたとか・・わたしは海外に出かけたことは一度もありませんが、スロベニアには興味をもっています。スロベニアワインなどもありますし。

クライバー記念館 小屋のような粗末な建物です

わたしがクライバーを知ったのははるか昔、日本の経済力が世界第二位くらいの時期でありました。そのとき、ミラノのスカラ座と共にクライバーがやってきたのです。当時わたしは全くクライバーには興味がありませんでした。しかし知人がこの催しに興味を示しており「聴くならカルロス=クライバーが良い」と言っていたので、多少興味を持った程度でした。

プッチーニの「ラ・ボエーム」。この舞台を見るまでわたしは曲を聴きたいとも思わず、プッチーニ自体にも興味がありませんでした。しかし舞台をみて、はじめてこの曲の良さ、オペラという総合芸術を国をあげてやっていることに感動しました。

一度見ただけでは満足しきれなくなり、録音を探しましたが見つからず、仕方なくカラヤンのを買って落胆しました。クライバーの演奏とは曲が違うほどかけはなれたものだったから。わたしはクライバーのルバートが聴きたかったのに。

それでも割り切って、毎日レコードが擦り切れるほど聴きました。楽譜も購入。良い曲が目白押しで、ピアノで弾いては楽しみました。演奏はまず曲なんだろうなと思います。曲が魅力的だと、演奏を後押ししてくれるから。

次にクライバーの「オテロ」を買いました。これは独自的な演奏で、別格だと思っています。場合によってはボエームよりも素晴らしいかもしれない・・今でもレコードを保存しています。何があったとしても処分できないものです。

その後はわたしも仕事が激務になり、ゆっくり音楽を鑑賞する時間もなくなりました。クラシック音楽の世界からも遠ざかっていき、人間関係も疎遠になってしまいました。元々関わりを持ちたくない世界であったために、常に外から眺めていたことを思い出します。

余談ですが、音楽だけではなく、サラリーマンとして定年まで勤め上げた方でも同じことおっしゃってました。組織の所属であったり、組織からお金をいただくことは、大なり小なり息苦しさと理不尽さがつきまとうのだろうなと思います。

クライバーが亡くなった時には、新聞の片隅に小さな記事が出ていたことを覚えています。日本ではスター的な扱いをされていた指揮者であったため、いっときはすごい盛り上がり方でした。しかし・・最後はあまり話題になっていなかったように思います。

わたしも含め、根強いファンはいると思います。海外のプロフェッショナルにも特別な思い入れがあるようです。当時一緒に仕事をした日本人の歌手の方が、「クライバーは特別なんだ」と書かれていました。追悼演奏会の様子もお書きになっておりました。クライバーは追悼演奏会のような、堅苦しい催しが大嫌いだったとも書かれておりましたね。

そのときはシューベルトのシンフォニー3番も演奏されたとのこと。

クライバーは奥様亡き後、コシニッツアにこもっておられたようです。仕事場を離れたら気さくな方で、山一つ越えた場所に住んでいた青年が、「うちのブラスバンドでシンバルを叩いてくれた」と書いていました。

あのへん、どこに誰がいるのかみなわかっているのかな?と思いました。日本の田舎的な感覚でしょうか?

ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」

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このCDについては録音がひどいとか、特殊な演奏だとかの批判があちこちにあります。わたしも購入したのですが、音楽的にはスコアを見ながら聴くと、それぞれの声部の絡み合いがよくわかります。テンポの揺れが独特であること、そのくせクールに全体を見渡していることが特徴でしょうか。

同じ楽曲で他のCD(クライバー指揮)ももっていますが、この録音と演奏が一番わたしの耳にはなじむのです。

録音件数が少ないこともあり、クライバーのCD DVDはコレクションしています。(まんまとクライバーの策略に引っかかってます。彼は音楽バカではなかったため、自分の値打ちを高くするための策略をたててたんですね。)

Youtubeにも、バイロイトでの海賊版的録音がアップされており、これらも全て保存していますが、音質が悪すぎて通して聴く気にはなれません。一部のみならば良いのですけれどね。

シューベルト未完成交響曲・コリオラン序曲など

シューベルトやベートーベン、ベルクなども聴いています。とてもシャープな演奏で、聴き心地が良い。コリオラン序曲=ベルリンフィルには、感心しました。他にブラームスの4番なども。

これはこうでなければいけない!と決めつける方には向かないと思います。

シューベルトの新世界交響曲も、良いですよ。「テンポが早い」とか、「古典派のような演奏だ」とのご感想がありましたが・・当然です。ベートーベンとシューベルトは同時代の人です。しかし、ベートーベンが現れたために、過去の音楽の方法にはとらわれず、自分の音楽を堂々と作れるようになったのではないでしょうか?

よくわかりませんけれど・・

クライバーはレパートリーが少ないと評判でしたが、本当はオペラだけで60もレパートリーがあったとか。他にブルックナーなどもよく聴いていたらしいです。なぜ?演奏してくれなかったのか、非常に残念です。

説得力のある演奏ができたのではないか?と思います。出不精のわたしでも、演奏会に出かけたと思いますね。そのくらい曲の魅力を引き出せる指揮者だったと思います。

毎回毎回良い演奏ではなく、全くダメな時もありました。サンソン=フランソワみたいですね。

お父さまのエーリッヒ=クライバーは彼の数段上をいく演奏家であったと思います。しかし全てではないでしょうね。カルロス=クライバーに影響を与えた演奏家は存じていますが、未聴です。CDは予約制らしいですので、手に入ったらまた書きます。

下記はスロベニアの風景にグレングールド=ブラームス インテルメッツオをあてた動画です。バスーンの演奏家が作られました。Youtubeで見るをクリックすれば、見られます。

スロベニア コシニッツアの風景 

グレン=グールドの演奏がこれほどまでに合う動画はみたことがないです。

その他いろいろと・・

カルロス=クライバーの演奏については、一回では書ききれませんので継続します。またお父さまのエーリッヒ=クライバーについても書きたいと思っています。

他に、最近はフランクフルト交響楽団アルバン=ベルク弦楽四重奏団の演奏も愛聴するようになりました。フランクフルトは演目が楽しく、聴いていて飽きません。

アルバン=ベルクの演奏はシューベルトのようなまとめにくそうな楽曲を、一本の縄のような統一感で、かっちりと仕上げてくださっています。今聴いているのは「死と乙女」です。他の演奏家も聴かせていただきましたが、わたしの耳ではベストではないかと思ったカルテットです。

なんだかまとまりのないことを書き連ねてしまい、申し訳ございませんでした。

「音楽を薬代わりに〜」はできるだけ長く続けていき、このブログの主流としたいと考えています。ご興味のある方、お目を通していただければ幸いです。今後ともよろしくお願いします。

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