音楽を薬代わりに〜ロマン主義・ジャズの曲1
ロマン派の楽曲と、過去に何百回も聴いてきたジャズの曲について触れます。薬代わりの音源にするには、同じ曲でも聴き比べをしてみる必要があります。今回、聴き比べをしてみまして、落差の大きさに愕然としました。
ピアノ教室の発表会での演奏と言われても通っていくような、別の意味ですごい演奏家もいらっしゃいました。しかし、音楽愛好家の中でもきちんとピアノを習っている方々、大家の演奏を予習して演奏会にくるような「音楽通」は、見抜いておられました。
わたしは、外国人に見下げられているような印象を持ちました。日本人なら、このくらいでもいいだろうとの思いが伝わってきました。「そうではありません。あなたの耳がおかしいのです。」と抗議されたとしても、そう思うような演奏でした。
親友のピアニストにもご意見を伺ったところ、「あの人は前からそうなのよ。何を弾いても同じ。」と淡々と話しておりました。未熟なわたしの耳でも、多少の自信を得ることができたことは大きいです。
シューベルト「詩篇23番 神はわたしの羊飼い」
シューベルトには合唱曲があることをご存じでしょうか?この曲は旧約聖書の詩篇23番に曲をつけたものです。
わたしはこの北欧のグループの演奏が一番好きで、よく聴いています。指揮者も全く存じ上げませんでしたが、何度か来日されて、指導も行っておられたようです。残念なことに4年前に亡くなられていました。本当に残念です。残された音源はたくさんあるので、今後も聴き続けることにしました。
友人にもこの演奏を紹介しておきました。友人(猫友)には「曲がいい。それに演奏もとっても良い。」と喜ばれました。
わたしは合唱経験がなく、専門的なことはわかりません。経験めいたことといえば、中学校の音楽の時間に、瀧廉太郎の「花」の編曲版を歌ったくらいでしょうか?そんなわけで、歌のテクニックや発声についてはよくわからないものの、ピアノは専門的に習ってきましたのでその中で共通項を見つけては納得しています。
それはともかくとして、シューベルトのこの楽曲には心惹かれました。指導者(指揮者)の音の引き出し方にも、わからないなりに共感を覚えました。
ピアノのタッチでよく「押さえつけないで」と言われましたが、声も同じなのではと思いました。無理な力が入っておらず、自然に流れていきます。わたしは力の抜けた演奏で、しかも美しい音楽が心に響くのです。
日本の演奏は見せることも重視されているのでしょうか?ピアノに関すること。音を出してしまってから、弦楽器のようにビブラートをかけようとでも思っているのか?腕をふったり、頭を振ったりして、弾いている方々(特にお子さん)が多いように思います。わたしはエネルギーの無駄遣いだと思っています。わたしがピアノを習っていた頃は、無駄な力を使わず、楽に弾くことを教わりました。手が小さいので身体の柔軟性は必要ではあるものの、無駄な動きをしていると、最後まで持ちません。
いつごろから身体を大きく動かす演奏が増えてきたのかわかりませんが・・ピアノの先生も良しとしておられるのか?疑問を感じています。今はそんな動画が流れてきたら即「表示されないように」しています。
リスト「愛の夢」
キーシン氏、来日時の演奏動画はわたしにとっては全くおもしろくない演奏でした。上の動画はどの国での演奏会かわかりませんが、大変気に入りよく聴いています。
具体的には、展開部(H-durへ転調後C-durなど揺れ動く部分)〜つなぎ(カデンツァ)〜再現部までが一つの流れとなって迫ってきます。展開部の乱れが好きです。クライマックスは展開部の終わりだけではなく、再現部の余韻(美の極致)までも含まれているのではないかと感じさせてくれました。
曲の魅力(男性的な曲)が200%くらいに膨らんでいるような演奏で、聴くたびに満足しています。
メロディに操られてゆらゆらしている演奏も多い中、キーシン氏の演奏には迷いがなく、しかも感情に押し流されてもいません。これがロマンティックな演奏なのでしょう。ロマンティックとセンティメンタルの違いを教えてくださいます。
キーシン氏の対極だと思われる演奏も一応聴いてみました。
日本では人気リスト弾きとして名高いらしい、ドイツのピアニスト女史の演奏を、期待して聴きましたが、腑に落ちませんでした。
BSで放送されていた「ラ・カンパネラ」も追加で拝聴。フレーズがおさまらないうちに次にいってしまわれます。また、聞こえづらい音(きっちり和音がつかめていないのか?)がそこここに点在しており、すごく気になりました。わたしの思った方向に解決しないので、肩透かしを喰らわされ、気持ちが疲れました。
他にも少しだけ拝聴しましたが、皆同じ。やはり体質に合う合わないはありますね。
Here’s That Rainy Day
シンガーズアンリミテッド+オスカーピーターソントリオのCD「In Tune」

このレコードを手に入れた40年ほど前は苦しみの連続でした。1曲につき何百回も聴いているのではないか?と思います。癒しを求めていたのだと思います。音楽は人に寄り添えるものではないと言う方もいますが、わたしに限っては心身の不調のときに助けられています。薬代わりになることを信じていますので、今後も体質に合った曲を聴き続けます。
Here’s That Rainy Dayは不思議な曲です。当時はミュージカルの曲だとは知らなかったし、編曲がどうのこうのなど考えず、やみくもに聴いていました。この曲だけではなく、上のアルバムの曲は全て好きです。
数日前にジャズピアノの先生が、ショパンのノクターンの2番をビルエヴァンス風に編曲して動画アップされていました。この際、エヴァンスのHere’s That Rainy Dayのイントロを引用されていましたので、思い出したのです。
最初、調が違うことに気づき考え込みましたが、自分なりに解決しました。→細かいことなので別記事にします。
拝聴させていただいて、様々な面で勉強になりました。正統派ジャズってゆーのは作曲に限りなく近く、引き出しをたくさんもっていて、しかも記憶力が良く、リズム感も良くないと難しいのだなぁと思いました。よくあるピアノのおけいこのように、教えられたことをそのままやっていけば良いというものでありません。作曲のレッスンと同じく自分で勉強していく力が必要。しかも自分のものとして消化する力も必要とされる。
どの分野でも才能溢れる方の作品は、呼吸になじみます。それぞれの呼吸のスピードがあるので、わたしにはあっても他の方には合わないかもしれませんが・・
このエヴァンスの件についてはあらためて記事を書きます。こーいうふうにやるんだという指針になりそうです。備忘録として記事にしますので、出来上がったらご報告いたします。
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