もう一つの自分
人はみな二重構造となっている。
この表現は、私がマインドフルネスのために初読破した書籍、山下良道先生の「マインドフルネス✖︎禅」にありました。二重構造とは、自分で作り上げた「とらわれ」(妄想)の世界にいる私と、生まれることも死ぬこともない世界(仏教用語では涅槃と言います)の私を指します。
もう少しわかりやすく書きます。とらわれの世界とは、生老病死(せいろうびょうし)、すなわち生まれ落ちればいつかは衰えて、死を避けることができない存在。生まれることも死ぬこともない私とは、普段は意識することのない、心(脳)の奥深くにある存在を表します。心理学の分野では集合的無意識と称されています。
この生まれることも死ぬこともない存在は、妄想の世界から抜け出し、別世界に生きる「完璧な」私です。マインドフルネスは、妄想の世界にいる自分を確認した上で、別世界に抜け出すことが目的であります。
マインドフルネス瞑想を実践しても、しばらくはとらわれの世界と生まれることも死ぬこともない世界を、行きつ戻りつすることでしょう。しかし、最終的には本来の自己の世界に落ち着き、常に自己観察ができるようになります。
尚、二重構造の考え方は、新しいものではなく、大乗仏教(日本に伝わる伝統的な仏教)そのものであります。
自分の人生を生きる
脳の作り出した虚構の世界から飛び出すことにより、自分は何者であるのか知り、終着点を意識するようになります。生き物の終着点は「死」。死を意識することにより、現実の生活において、何を最優先するべきなのか、決定することのできる自分に変身します。ただし、インスタントでは難しいです。習い事、芸術のレッスンなどと同じく、最低でも3週間~3ヶ月マインドフルネス瞑想を続けることにより、自分の思考癖から抜け出し、周囲の景色が少しづつ変わってきたことに気づかされます。ある日突然何かが変わったことを自覚なさる方もおられるでしょう。しかしそれは継続の結果に、あなたが気づいたまでです。
次の段階は半年、1年、3年・・・じょじょに景色は変わっていきます。人間関係 仕事の種類 部屋の景色 顔つきや身体つきなど、全てが変わっていきます。自分の中が変容すれば、外側も変わることに気づき、人生観も変わっていきます。
現実には
生きることが辛くて仕方がないという方々は、常に他人を意識し、世間の価値観に無理に合わせて人生を歩んできているのです。人並みに生きなければ・・・といった恐れや苛立ちが、本来の自分をないがしろにしてしまっていることに、気づけないのです。
やりたいからやっていたと思いこんでいた仕事、勉強、行動などをふりかえり、実はこれは、偽物であったと気づく時もやってきます。
その上で、新たに道を歩み始めることにより、次第に生きることが楽になってきます。道は自ずと開け、あなたにとって必要なものが訪れます。現実には、良きことばかりではなく、無意識の領域が大変面倒な現実となって発現することもあります。
たとえば、金銭的な執着を抱えていれば、同じようにお金に執着をもっている方と結びつき、損害を被ることもある・・しかし、面倒な事件に巻き込まれて、「どうしたら良いかわからない 辛い」と一時的に大きく落ち込んだとしても、自力で立ち直り、なんとか折り合いをつけて解決の方向へと進んでいきます。
今世界中を騒がせているコロナウイルス についても、同様です。ネット上の様々な噂話、政府への批判、マスコミの話などを耳にしても、固執し心に置き止めることがなくなります。どれが正しくてどれが間違っているかと、決めつけるのではなく、「このような考え方もあるのだな」と受け流し、中庸を歩んでいけるようになる・・・
平常心を保ちつつ、今現状で必要なこと・・・例えば外部との接触を避けることが最も大切だと感じ、楽に実行できるようになります。
どのような環境であっても、「今、自分がやるべきことは何か」と考えている自分を発見するでしょう。このような思いが幸せを生み、免疫力アップにつながること、われわれは教わらずとも理解しているのです。やがて心身共に健康になることによって自信が増し、思いもよらない方向(過去に自分が思い描いた世界よりもっと強い!)へと進んでいきます。
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